ステロイド外用剤の予備知識


1.皮膚に塗布された薬剤の有効成分が皮膚に吸収され、効力を発揮するわけですが、皮膚の場所によって、吸収率が違うことを知る必要があります。

 

2.皮膚の部位別吸収率

前腕部を1.0とした場合の比で表します。

    

皮膚の部位

吸収率

陰嚢

下頬

前頭

腋窩

前腕伸側

前腕屈側

手掌

足関節

足裏

42.0

13.0

6.0

3.6

3.5

1.7

1.1

1.0

0.83

0.42

0.14

 

 

 

 

 

3.吸収率の違う理由

@顔面、頸部では毛嚢皮脂腺系が発達している為そこからの吸収もあるので吸収率が高くなります。

A陰嚢、頸部、腋窩などは皮膚が薄いために経皮吸収が促進する。

B乾燥した皮膚は皮脂膜の欠乏の為経皮吸収が促進する。

Cびらん、潰瘍部では表皮欠損の為経皮吸収が亢進する。

 

4.ODTと重層法

@ステロイド剤を塗布した上からラップなどで被うと吸収率が高まります。

この方法はODT(密封包帯包法)と言われますが、真菌などの感染症も起こしやすくなるので必ず医師の指導のもとで行います。

Aまたステロイド剤を塗布した上から油脂性基剤を貼付すると吸収率が高まります。

この方法は重層法といわれますが、やはり医師の指導で行います。

 

5.副作用

外用剤とは言っても副腎皮質ホルモン剤ですので大量に使えば内服した場合と似たような副作用が起きる事が考えられるわけです。

以下のような副作用が考えられます。

 

副腎抑制

皮膚の萎縮

毛細血管拡張

毛細血管紅斑

酒さ様皮膚炎

口囲皮膚炎

紫斑

痤瘡

多毛

 

 

 

6.結論

外用剤の使用に当り以上のことを踏まえて、その部位、症状、程度などにより軟膏のランクや基材(ワセリン、クリームなど)、方法などの選択をする必要がある。