私たちの体重の約60%は水分であり、そのうちの2〜3%が失われただけでも運動能力が低下してくることがわかっています。5%を越えると疲労感がひどくなり、7%では幻覚症状が生じ、10%まで損失すると熱中症として命にかかわる状態に陥ってしまいます。
水分の体内での役割は、栄養分の運搬と体温調節です。外気温が高かったり、運動で大量の熱エネルギーが生じたときは、発汗により熱を放出し、体温を一定に保つよう調節されます。
ひと昔前のスポーツは「競技中に水を飲むな」「飲むとかえって疲れる」といわれていました。
その理由の一つにがぶ飲みしたことにより疲れた内臓が冷えて腹痛をおこしたり、せっかく体が温まって調子が出ているのに調子を崩してしまうことがあったためと考えられます。
その後の研究により科学的には何の根拠もない説であったことが明らかにされています。むしろ現在では、運動中は失われた水分をこまめに補給したほうが運動能力に、よい結果が得られるという報告が多いのです。また、マラソンやテニス、サッカーのように長時間におよぶ競技では、途中の水分補給が気分転換となり、かえって集中力を増す効果も認められています。
運動選手は腎臓障害につながるような、乏尿(尿の排泄が少ないこと)の危険に常にさらされています。
尿量は一日当たり900mlを超えるように、水分を十分に補給しなければなりません。ですから失われた体の水分は少量ずつ頻繁に水分をとって補給されることが望ましいのです。
競技では水分補給が勝敗を左右する場合も少なくありません。
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