スポーツドリンクの科学 運動時の効果的なsports drink

 

  2006824

 

競技中の水分補給は必要か

  私たちの体重の約60%は水分であり、そのうちの2〜3%が失われただけでも運動能力が低下してくることがわかっています。5%を越えると疲労感がひどくなり、7%では幻覚症状が生じ、10%まで損失すると熱中症として命にかかわる状態に陥ってしまいます。

 水分の体内での役割は、栄養分の運搬と体温調節です。外気温が高かったり、運動で大量の熱エネルギーが生じたときは、発汗により熱を放出し、体温を一定に保つよう調節されます。

ひと昔前のスポーツは「競技中に水を飲むな」「飲むとかえって疲れる」といわれていました。

その理由の一つにがぶ飲みしたことにより疲れた内臓が冷えて腹痛をおこしたり、せっかく体が温まって調子が出ているのに調子を崩してしまうことがあったためと考えられます。

 

その後の研究により科学的には何の根拠もない説であったことが明らかにされています。むしろ現在では、運動中は失われた水分をこまめに補給したほうが運動能力に、よい結果が得られるという報告が多いのです。また、マラソンやテニス、サッカーのように長時間におよぶ競技では、途中の水分補給が気分転換となり、かえって集中力を増す効果も認められています。

 

運動選手は腎臓障害につながるような、乏尿(尿の排泄が少ないこと)の危険に常にさらされています。

尿量は一日当たり900mlを超えるように、水分を十分に補給しなければなりません。ですから失われた体の水分は少量ずつ頻繁に水分をとって補給されることが望ましいのです。

競技では水分補給が勝敗を左右する場合も少なくありません。


スポーツドリンクの内容は

運動時間が1時間以内の場合は、水でも十分でしょう。2時間以上の運動では、グリコーゲンの消耗が激しくなるため、途中で糖質を補給したほうが疲労を遅らせることができます。

この場合、糖分の多いドリンクは吸収に時間がかかる上に、血糖値の急激な上昇によりインシュリン分泌が刺激されることで軽い低血糖を生じ、一時的に運動能力を低下させることがあります。低血糖を起こさず、胃にも負担をかけないためには、糖濃度が2〜2.5%のドリンクが理想です。

 市販のジュース類は10〜13%、スポーツドリンクでも5〜8%のものが多いため、運動中は2〜3倍に水で薄めて飲むとよいでしょう。また、清涼飲料水の甘み成分としては、砂糖(ショ糖)より果糖のほうが同じ糖質でも吸収が早く、インシュリンへの刺激もゆるやかなためスポーツ時に適しています。

しかし、スポーツドリンクに含まれているぶどう糖や砂糖は、体脂肪の分解を抑えて血中脂肪酸レベルを低下させ、筋肉などによる脂肪酸のエネルギー代謝を抑制し、グリコーゲン分解を促し、運動の強度が高い場合には乳酸の生成を促すことにもなります。

ダイエット甘味料として使われているステピオサイト、アスパルテーム、マルチトール、フラクトオリゴ糖などの代替甘味料が主成分のドリンクでは、甘みはあってもグリコーゲンになりづらいため疲労回復効果が期待できないものもありますので注意してください。

スポーツドリングにはおびただしい種類があります。それらのドリンクはそれぞれ汗で失 われる糖分、有機酸類、ビタミン類などが含まれているのが一般的です。そして、多くのスポーツドリンクは、浸透圧が体液に比べてやや抵く調整されています。これは、胃腸での水分の吸収速度は体液よりやや低張液のほうが速いという理論によります。

スポーツドリンクの主な成分と効用

成 分

主な効用

ショ糖・果糖・ぶどう糖

甘味・エネルギー源

ビタミンB群

エネルギー代謝促進

クエン酸・Ca・Mg

筋肉疲労回復・乳酸分解促進

K・Na

水分調節

ビタミンC・E・β-カロチン・ポリフェノール

活性酸素からの抗酸化作用

その他、製品の特徴をだすためにさまざまなエキス類が配合される場合が多い

 

 

スポーツドリンクの上手なとりかた

 

飲み方としては、少量をこまめに飲むことが理想です。途中で給水できない競技の場合は、事前にコップ2杯程度を飲んでおき、競技終了と同時に十分量を補給するとよいでしょう。

一度に大量を飲みだめするのはかえって胃や腎臓に負担がかかってしまいます。また、冷たいドリンクはお腹を冷やして内臓に悪いのではと思われがちですが、実際はむしろ8〜13℃程度の冷ための方が吸収が速く、飲みやすいのです。

運動後は、スポーツドリンクを薄める必要はありませんが、飲んでも200ml程度とし、残りの飲む分は水や牛乳など無糖のものに切り替えましょう。スポーツドリンクの代わりに果物ジュースや複合サプリメントでも必要なビタミン・ミネラルは補給できますが、やはり十分な水分と同時に食事によりタンパク質、糖質、ビタミン、ミネラル類が食べられることが理想です。

 

 

アンチドーピングとは

ドーピングとは競技能力を増幅させる可能性がある手段(薬物あるいは方法)を不正に使用することであり、スポーツの基本的理念であるフェアプレーに反する行為です。

ドーピングは、健康への害、不誠実、社会悪といった「悪」につながるだけでなく、スポーツの価値や意味そのものを「否定」してしまうからこそ禁止されているのです。

 

身近な事柄に関しての質問

 

お茶やコーヒーに含まれるカフェインは大丈夫ですか?

カフェインは、2004年以降の禁止リストにおいて禁止物質からはずれ監視プログラムに移行しています。したがって、お茶やコーヒーに特別の注意をはらう必要はなくなったといえます。ただし、カフェインなどは監視対象としてモニターされ、その結果によって再び禁止される可能性もあり、注意しておきたいところです。

 

風邪のときはどうしたらよいですか?

症状に応じて,禁止物質でない薬がありますから、医師から適切な処方を受けて下さい。
 競技会と3日以上期間があいていれば、市販の総合感冒薬でも服用できます。適切な判断が下せるのであれば、心配ありません。

 

市販の薬にも禁止物質は含まれていますか?

市販の総合感冒薬のほとんどにはエフェドリンなどの禁止物質が含まれています。葛根湯など一部の漢方薬には麻黄を含むものがありますが、麻黄には禁止物質のエフェドリンが含まれています。また、市販の胃腸薬の中には禁止物質の興奮剤ストリキニーネ(ホミカ)を含むものもあり、要注意です。

強精剤の一部には禁止物質のメチルテストステロン(蛋白同化剤)が含まれています。海外で栄養補助食品として市販されているDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、アンドロステンジオンは禁止物質です。また、鼻炎用薬、痔の薬には副腎皮質ステロイドを含むものも多く、注意が必要です。

海外で市販されている鼻づまりの吸入薬の中には、デソキシエフェドリン(覚醒剤)の含まれているものがあり、ドーピングだけではなく日本国内への持ち込みも禁止です。

 

市販の薬や栄養補助食品を使用する際には必ず成分を確認し、ドーピングに詳しいドクターに相談して下さい。

 

スポーツとダイエット

 

トレーニングと食生活の管埋を行っても、制限体重まで減量できないような場合、利尿剤を使って体の水分を減らして体重を調節することが階級制のあるスポーツなどで行われていると聞いたことがありますが、利尿剤はドーピング禁止薬物です。


 利尿剤は腎臓で血液から尿を作る過程にある再吸収機構に影響をあたえて、尿中に水分とミネラルの排出を促します。しかし、利尿剤は体内のミネラル分布に影響を及ぼすので、医師などの指示のもとに使用されなければなりません 。

ダイエットしたいと思ったら、カロリーの摂取以外にも、規則正しい運動がとても重要です。理想の体重まで減った後も、運動はやはり体重維持の助けとなり、また体力増強や心臓疾患の予防にもなります。

 

運動しながらダイエットした場合と、特に運動しないでダイエットした場合とではどのような差があるのでしょうか。肥満大国アメリカでは、減量プログラムの実験が数多く行われてきました。

 

その結果はどれも同じで、運動なしのダイエットではプヨプヨのまま少し体が小さくなるだけです。週3回の運動を加えるだけで脂肪燃焼効果は2倍、しかも体力もついて引き締った体づくりができるのです。

 

プロポーションとは筋肉と脂肪の比率で決まります。美しいプロポーションをお望みならば運動をしながら筋肉の比率をを増やしていくことをお勧めします。筋肉量が増えると消費エネルギーが増えるため、食べても太りづらい体に変わることができるのです。

 

 

 


 

 「私たちは、皆さんがスポーツをとおして健全な精神と健康な体を作られることを願って止みません!」

用語の説明

インスリンのリバウンド

反応性低血糖症

インスリン抵抗性

ペットボトル症候群

熱中症

脱水症

自発的脱水症

浸透圧

給水速度

基礎代謝

有酸素運動

無酸素運動

筋肉量

筋肉疲労

個人の条件

運動強度

暑熱馴化

GI値

 

 

関連情報

熱中症死亡事故

アドレナリンと血糖値

汗の成分

体の水分の出入り

代謝水

不可避尿

随意尿

ブドウ糖

ショ糖

果糖

ミネラルウォーター

ニアウォーター

短距離走とマラソン

 

 

 

 

 

Q&A


Q スポーツとアルコールとの関係は?

Q 水道水は安全ですか?

Q 浄水器は安全か?

Q スポーツドリンクは虫歯になりそうで心配?

Q スポーツドリンクは太りませんか?

Q バナナを試合中に食べている選手を見かけますが?

Q なぜ海水は飲めないの?

Q 外気温が何度になると危険ですか?

Q 1回の水分摂取はどのくらいがよいのですか?

Q10 暑さに弱い人ってどんな人?

Q11冷たすぎるドリンクはいけないのでしょうか?

Q12 プロテインはいつ摂るのが良いですか?

 

 

運動とダイエット

 

低インシュリンダイエット

 

太りやすい人・太りにくい人

 

 

 

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