用語の説明

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耐性tolerance

 「耐性とは、ある薬物の反復的摂取の結果として起こる、その薬物への感受性の減弱をいい、以前にはより少ない量で生じていた効果と同程度の効果を生み出すために、より多くの量を必要とする状態である。この量の増加は、その薬物の代謝上の変化や、その薬物の効果に対する生理的あるいは行動上の慣れの結果である。」(WHO薬物依存に関する専門委員会第28回会議報告書P.5
 例えば、あへん系麻薬等の中枢神経抑制作用を有する薬物は、反復使用しているうちに、かつては効果を体験できた量でも次第に効果を体験できなくなる。結果として、同程度の効果を体験するために、より多くの量の薬物を使用しなければならなくなることがある。

 

依存dependence

 

 

  依存とは、ある生体器官とある薬物との相互作用の結果として生じた精神的あるいは時には身体的状態であり、その薬物の精神作用を体験するため、あるいは、時にはその薬物の欠乏から来る不快を避けるために、その薬物を継続的ないしは周期的に摂取したいという衝動を常に有する行動上の、ないしは他の形での反応によって、特徴づけられる状態。
 依存には、「精神依存」と「身体依存」がある。精神依存とは、薬物を摂取したいという強い欲求と同時に、往々にして、その薬物を手に入れるための「薬物探索行動」を誘発する状態である。一方、身体依存とは、その薬物の摂取量が減少したり、摂取できなくなった時に、「退薬症状」(「禁断症状」はその一形態)を呈する状態である。

 

再燃(フラッシュバック現象)flashbackphenomenon

  これがLSD乱用・依存による異常体験の出現様式の説明に使用されたのが最初のようであるが、その後、「大麻」「覚せい剤」等の場合にも使用されるようになった。我が国では、覚せい剤についてよく知られている。
 覚せい剤等薬物の使用の結果、精神的に異常状態を呈したことがある人が、その後薬物使用をしていないにもかかわらず、突如、かつての精神的な異常状態と同様ないしは類似した状態になることをいう。有機溶剤精神病経験者でも認められることがある。
 フラッシュバックに類似した現象としては、覚せい剤等精神病経験者が、その薬物ないしはアルコールを含む他の薬物を少量使用しただけで、かつて体験したのと同じないしは類似の精神病状態を呈することもある。これは、厳密にはフラッシュバックではなく、薬物性精神病に認められやすい「再燃のしやすさ」「再発準備性の亢進」を意味している。

 

脱法ドラッグ

法律で定められた言葉ではありませんが、人が摂取すると、陶酔感・幻覚・興奮作用などを高めると称して販売されている製品のことです。
 麻薬や覚せい剤と異なり、法律で所持や使用、譲渡等が禁止されていないため、かつては「合法ドラッグ」とも呼ばれていましたが、現在では「法の規制の間をすり抜けた薬物」ということで、「脱法ドラッグ」と呼んでいます。
 「研究用化学試薬」「芳香剤」「クリーナー」等と称して販売しており、本来の使用方法を隠蔽するとともに、薬物の作用を「注意事項」に装って製品や広告に記載しています。
 だまされないで、絶対に使用しないようにしてください。

 

 

 

乱用薬物一覧

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コカイン

 

 「麻薬及び向精神薬取締法」で禁止されている。作用時間が短いため、頻繁な使用から依存に陥りやすい。アメリカで社会問題化、日本でもコカインを精製した「クラック」が流行。鼻からの吸引、注射、吸煙などで摂取する。慢性毒性はかなり高く、コーク・バグと呼ばれる皮膚の内側を虫が這いずるような精神症状が生じることも。

 

LSD

 

 

 LSD(リゼルギン酸)は強い幻覚作用があり、急性精神毒性は非常に高い。「アシッド」「マイクロドット」の名で呼ばれることもあり、ミシン目を入れた切り取り式の紙に吸い取らせたものから、錠剤、カプセルなど形態はさまざま。「麻薬及び向精神薬取締法」で禁止されている。

 ごく少量で感覚の混乱、幻覚、幻聴が起きるのは、脳の中で視覚情報と聴覚情報の混乱が生じるため。いわゆる「バッドトリップ」を体験して長期にわたる精神的ダメージを受けたり、フラッシュバックの出現もある。なお、LSDと似た作用を持つマジック・マッシュルームには、サイロシビンという成分が含まれており、「麻薬」に指定されている。

 

MDMA・MDA(類似薬物)

 

 いわゆる「デザイナー・ドラッグ」。違法薬物の分子構造の一部に手を加えることで法の網をすり抜けようとしたもので、元になった薬物より危険な場合もあり得る。90年代には「エクスタシー」(MDMA:アンフェタミンの合成薬物)が流行。イギリスで急性中毒死が相次いだ。日本ではMDMAは「麻薬及び向精神薬取り締まり法」で禁止された。エクスタシーとして出回っている中には、本物の覚せい剤やまったくの偽物もある。

 

覚せい剤

 

 

 メタンフェタミンとアンフェタミンがあり、通称「シャブ」「スピード」「エス」「冷たいもの」「クリスタル」などと呼ばれている。メタンフェタミンを「赤ネタ」と呼ぶこともある。日本でもっとも乱用されている違法薬物で、やせ薬、セックスドラッグ、集中力を高める薬としてすすめられることも。

劇的な高揚感と自信をもたらすことから精神依存が形成されやすく、一方で毒性も高い。多弁、妄想、発作的自殺などの急性精神毒性、大量 服用死、食欲不振、嘔吐、下痢など臓器への毒性、さらに、うつ、疲労感、混乱などの慢性精神毒性があり、幻覚や追跡妄想が出る。薬物を断った後も、飲酒やストレスをきっかけにフラッシュバック(突然、使用していたときと同じ精神状態になる)が起こるなど、深刻な後遺症に見舞われるケースも。

 

ヘロイン

 

 モルヒネから合成された薬物。麻酔性、依存性はきわめて高い。多幸感をもたらす一方、倦怠感、悪心、嘔吐などが起こることも。離脱症状は、筋肉や関節に激痛が走り、悪寒や下痢に見舞われるなど激しいもので、短期間の使用でも現われる。日本では1960年代に乱用が増加。「麻薬及び向精神薬取締法」で禁止されている。鼻からの吸引、注射、あぶりなどで摂取

 

シンナーなど

 

 いわゆるシンナーは「有機溶剤」と総称され、主成分はトルエン。本来は塗料など油性のものを「溶かして薄める」ことが目的の物質。吸引すると、脳を有害物質から守っている脂肪の膜を簡単に通 り抜け、脳細胞を徐々に溶かしてしまう。「毒物劇物取締法」により吸引目的の所持・販売が禁止されているが、アルコールと並んで低年齢から始められることが多い。

 シンナーの俗称「アンパン」に対し、ガスボンベやライターのガスは「ガスパン」。接着剤(ボンド)が吸われることもある。いずれも幻覚・幻聴が出やすい。脳を酸欠状態にさせるほか、臓器への毒性、精神毒性が高く、ブラックアウト(薬物使用時に起こった出来事の記憶が部分的になくなること)や後遺症の出現も多い。

 

マリファナ(大麻)

葉の部分は「マリファナ」「クサ」「ガンジャ」、大麻樹脂は「ハシシュ」「チョコ」などと呼ばれる。

精神依存のみで耐性形成や身体依存性はないと言われているが、これに疑問を呈する専門家も多く、実際には日本を含め世界のほとんどの国で非合法な薬物として規制されている(日本では「大麻取締法」で禁止)。最近出回っているマリファナは、大麻に含まれる麻酔成分(THC)が強力なうえに、タールも煙草の1.5倍と言われる。

 記憶障害、生殖能力の低下、遺伝子への悪影響、免疫機能の低下などが起こるほか、摂取後24時間は運動能力や判断力に影響が残ると言われ、海外では摂取しての運転による交通 事故も問題になっている。乱用により「カンナビス痴呆」といわれる大麻精神病や、フラッシュバックなど後遺症が出ることもある。

 

咳止め薬

 

 合法的な市販薬。主成分は、塩酸メチルエフェドリン(エフェドリンは覚醒剤の原料)と、リン酸ジドコデイン(コデインはモルヒネ型の薬物)。1980年代半ば、製品のひとつ「ブロン」の乱用が問題化した。現在、この製品からはエフェドリン成分が除かれており、2000年には、ブロン液の濃度が二分の一に薄められる処置がとられた。

 

睡眠薬、抗不安薬

 

 処方薬だが、医原病として薬物依存症を引き起こすケースがあり、医療関係者自身が薬物依存になるケースも問題化している。乱用目的の非合法な流通 もある。処方の主流は、依存性・急性毒性の高いバルビツール酸系から非バルビツール酸系、さらにベンゾジアゼピン系へと移行している。

 未成年者にとっては、違法薬物へと移行するきっかけになる入り口のドラッグでもある。また、違法薬物を転々と使用した後に再びアルコールへ戻るという最終のドラッグにもなっており、深刻な複合依存を招いている。

 

アルコール

 

 ビール、ワイン、ウイスキー、日本酒、焼酎、リキュールなどは、いずれも「エチル・アルコール」が主成分。合法的に市販されているが、れっきとした依存性薬物だ。なお、未成年の飲酒は成長期の心身に大きなダメージを与えるため「未成年者飲酒禁止法」で禁じられている。作用はヘロインなどのモルヒネ型薬物に似て、身体依存性が高く、離脱症状は激しい。

 臓器への急性・慢性毒性があり、急性アルコール中毒で死に至ることも。慢性毒性としては、肝臓病や脳の萎縮をはじめ、すい炎や糖尿病、骨粗しょう症、さらに上部消化器ガン(食道ガンなど)のリスクも高まる。

未成年者にとっては、違法薬物へと移行するきっかけになる入り口のドラッグでもある。また、違法薬物を転々と使用した後に再びアルコールへ戻るという最終のドラッグにもなっており、深刻な複合依存を招いている。

 

ニコチン

 

 タバコに含まれるニコチンは、合法的に市販されている依存性薬物。未成年の使用は「未成年喫煙禁止法」で禁じられている。興奮作用を持つが、神経が興奮している状態では鎮静の効果 をもたらす。作用時間が短いこともあり、反復使用に陥りやすい。アメリカでは1987年、精神障害の分類に「ニコチン依存症」の名が登場。WHOでも、アルコールや覚せい剤などと同様、中枢神経に作用して依存を引き起こす「薬物」として位 置づけられた。肺ガンのリスクや、間接喫煙の害は言うまでもない。日本でもタバコ依存を治療する医療機関が増え、離脱症状をやわらげるための「ニコチンパッチ」や「ニコチンガム」の処方も行なわれている。

 

 

 

Q&A

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Q1 覚せい剤はダイエットにきくのですか。

 

A1 そのようなことはありません。それは、薬物を売ってお金をもうけようとしている人があなたをだましているのです。たしかに食欲は減りますが、体がボロボロになりやつれてしまうだけです。

Q2 覚せい剤は、徹夜で勉強するのに最適だと聞いたけれど本当ですか。

 

A2 とんでもありません。一時的に眠気がさめたような気がしますが、その後は憂うつな気分に苦しみます。試験に合格して入学できるどころか、刑務所に入ってしまいますよ。

Q3 1回や2回使うだけなら、止められるのですか。

 

A3 一度使うだけでとりこになります。「1回くらいなら。」という気持ちがあなたの一生を台無しにしてしまいます。

 

Q4 大麻だったらたいした害はないって聞いたけど本当ですか。

 

A4 とんでもありません。心も体もズタズタになったうえ、連用によって何もやる気のない状態になります。また、精神に異常をきたし、幻覚や妄想が現れたり、生殖器官に異常を起こすという報告もあります。

Q5 体に害があるとわかっているのに、なぜやってしまうのでしょうか。

 

A5 乱用される薬物の全ては、害があると分かっていてもどんどんと深みにはまります。薬物には強い“依存性”という性質があるためです。本人の意思ではその薬物の使用を止めることができません。よって、法律で個人の使用を厳しく禁止しています。

 

Q6 中高校生は、覚せい剤をどうやって手に入れるのですか。

 

A6 だいたいは、ごく少数の生徒が密売人から薬物を手に入れ、それに自分の利益を上乗せして、友人である多くの生徒などに売りつけています。女子の場合には、男子からただでもらったり、一緒に乱用したりするケースが多くなっています。また、覚せい剤を買うために“援助交際”や“恐喝、窃盗”などの非行に走る生徒も大変多くなっているといわれています。

 

Q7 実際にどうやって使われているのかよくわからないのですが。

 

A7  薬物乱用は隠れた場所や、密室で行われている犯罪です。誘われ た時断れるよう、実際どのように使われているのか知っておいた方がいいでしょう。以前は、注射器を使って乱用されていましたが、最近は、アルミはく等を使った“あぶり”という方法、ジュースに混ぜて飲む、キャンディーにまぶしてなめる、タバコに混ぜて吸う(特に大麻類)などと、中高校生が抵抗感なく使用できる方法が主流になっています。しかし、体に害があることに変わりありません。

 

Q8 薬物乱用のきっかけが身近にあるというのは、本当ですか。

 

A8 薬物乱用への誘惑は、いたるところに存在しています。友人・知人から誘われたり、海外旅行先で解放感から手をだして しまったり。魔の手は手をかえ、品をかえ、突然あなたを襲います。勇気をもって断ることが大切です

Q9 社会生活ができなくなるのですか。

 

A9 麻薬や覚せい剤、大麻、シンナーなど薬物の乱用者で最も重要な 問題となっている障害が、“社会生活ができなくなってしまう”ことです。確かに、乱用を続けると、精神障害がでたり、禁断症状がでたりと大変悲惨な結果がおとずれます。しかしそれ以前に、すべての乱用者に共通しているのが、“ごく普通の社会生活ができなくなってしまう”ことなのです。これには例えば、“漢字が書けなくなる”などの日常生活に支障をきたすことなどがあります。ですので、1回だけならとか、興味本位でためしてみるということは、大変危険なことなのです。

10 知らない間に薬とかが入っていたら、どうやって防げばよいのですか。

 

10 これは今、アメリカの青少年の間でものすごく問題になっていることです。アメリカでは、パーティーなどで異性が席をはずしたすきに、相手の飲み物の中に睡眠薬やドラッグを混入し、レイプする事件が10年位前から激増しています。このようなことを防ぐ方法として、必ず新しいドリンクや食べ物にチェンジすることが、アメリカでは常識になっています。

 

11 薬物を乱用するしないは、個人の自由だと思いますが?

 

11   現在、世界中のほとんどの国で、個人が自由に薬物を使うことを法律で厳しく禁止しています。これは、禁止されている薬物に依存してしまうと、本人の意思にかかわらず様々な健康障害や、幻覚、妄想といった精神障害へと進んでいくためです。その結果、薬物を乱用すると凶悪な殺人事件などの犯罪を誘発するので、個人の自由とは認めていないのです。

 

12 海外ではどうなっているのでしょうか

 

12  各国とも薬物犯罪に厳罰をもって対処しています。

例えば、最高刑を見ると
 ・死刑の国………シンガポール、フィリピン、中国など
 ・無期懲役の国…フランス、イギリスなどがあります。

また、犯罪に巻き込まれるおそれがあり、
 ・薬物所持に関する密告に対し、報償金を支払う国がある。
 ・薬物を高級茶などと称して売りつける。
 ・他人の荷物に薬物を紛れ込ませたりして密告する。
などの事件が発生しています

 

 

新聞記事

 

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