糖尿病の根本に迫る!

人間の祖先は動物の骨をあさっていた

人間の祖先が誕生した頃は、他の野生動物と同じような、特にチンパンジーやゴリラとは大して変わらない生活をしていたと考えられます。

自然界は食物連鎖という弱肉強食という法則がありますので、力の強い大型肉食獣の食べ残した肉をハイエナやハゲタカがついばみ、最後に残った骨を弱小だった人間の祖先があさって、石を使って骨を砕き、中の骨髄を取り出して食べていたようです。

実は、骨髄は完全栄養食といってもいいほどの栄養成分にたけているもので、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなどのすべての栄養素が豊富に含まれていたのです。

他の動物が食べないというより、食べることができなかった残り物が大脳を発達させるためには最善な栄養素だったことが、人類の運命を変える事になったのです。

骨髄を栄養にした人間は大脳皮質の部分が他の動物に比べ、圧倒的に大きく発達を遂げることとなり、その後は石器を使った狩猟により、動物性タンパク質を多く摂取することができるようになり、体が急速に大きくなっていったと考えられます。

動物が恐れる火を作り出すことが出来るようになると、他の動物とは一線を画す存在となり、一気に自然界の頂点に立つことになり、そののち食糧の安定供給を図ることを考え、酪農や農耕を発達させていくことになっていきます。

産業革命が人類を滅ぼす

産業革命による画期的な発展は、人類に豊かなそして便利な生活を提供してきましたが、それによる体の異変が起こっていることには誰ひとり気が付きませんでした。

特に穀物の精製技術の発達により、穀物の主成分である炭水化物の純度が高められ、パンの原料の小麦や米はデンプン(C6H10O5n、サトウキビは砂糖・スクロース(C12H22O11)の原料、塩に至っては100%塩化ナトリウム(NaCl)、酒はエタノール(C2H5OH)など、穀物の精製が高められれば高められるほど体に取り込まれた時には、吸収が早く作用が強い化学薬品へと変貌して、口に入れば化学薬品と同様の副作用をあらわします。

それまで純度の低い吸収速度の緩やかな食物を食べていた人間や動物が、今までに経験したこともない吸収速度で化学成分化した食物が大量に入ってきて、それを処理しようとして肝臓や膵臓、腎臓などが一生懸命働くことになり、臓器が休まることができなくなってしまいました。

大学の新入生歓迎コンパで、今まで経験したことのない量の酒を飲み、急性肝炎で死亡する痛ましい事件が起きるように、砂糖や塩でも大量に摂取すれば死に至ります。

精製技術の進歩は必ずしも人間にとって幸せなことばかりではなく、体から見ればありがた迷惑な発展ということができると思いますが、「くすりは両刃の剣」という例えがあるように全ての物事にはデメリットとメリット、陰と陽があるということを学ばなくてはなりません。

肥満の原因は炭水化物だった

現代の日本の食事は白米、パン、麺などの炭水化物が主食で、タンパク質、脂質との比率がおおよそ決まっています。

成人の必要エネルギー量から日本人のコメ政策を中心に考えられた比率であって、本来の生体から考えられたものではありません。

日本人の腸は外国人の腸に比べて長いとか、日本人は穀物中心なので長くなっているとかもっともらしい説が言われていますが、そんなことはありません。

人間の体には、骨髄が一番良いことはわかっていただけたと思いますが、このままの精製した炭水化物偏重の食生活を変えないと、総病人社会になり人類は滅びるかもしれません。

人間の体は飢餓を想定して作られているので、摂取した栄養を100%吸収して極力栄養を逃がさないで蓄えるように出来ています。

肥満の最大の敵は糖質(炭水化物)で、この糖質を多く摂取すると、それだけインスリン「肥満ホルモン」がたくさん分泌されます。

血中の余ったブドウ糖は脂肪細胞に蓄積されるように働いていて、血糖値が必要以上に上昇すると、それを蓄えようと働くためどんどん脂肪が増えてしまうのです。

動物界では肥満は死(喰われる)を意味しますが、人間界では生活習慣病を示唆します。

糖質制限食はやり過ぎないこと

現在の日本の糖尿病食事指導は「カロリー制限食」が主流ですが、「糖質制限食」を推奨している病院も出てきています。

従来の「カロリー制限食」では、食後に高血糖になってしまう欠点がありましたが、「糖質制限食」では食後の血糖値がほとんど上昇しないため膵臓に優しくて、肥満改善には効果的な方法であると思います。

しかし欠点もありまして、蛋白質や脂質が相対的に増えることで、血流障害が起きやすくなるといわれています。

両者とも一長一短ですが、「糖質制限食」を実施している方でも、ある程度の炭水化物をとっているのが現状ですので、それほど血流障害を心配することはありませんが、合併症の改善と合わせて血流対策をしっかりと行う必要があります。

血流障害が起きやすくなる欠点を解消するのには、適度な運動と十分な水分補給、野菜を多く摂るなどのことはもちろんですが、漢方薬と「田七人参」などの生薬を使って、血流の改善と血液の質の改善を図り、同時に血管の大掃除もする必要があります。

また最近では、田七人参の成分「パナキサトリオール」には糖の取り込み量を増加させ、高血糖を抑制する作用があることもわかってきました。

糖(グルコース)は微小血管に障害を与える

体内におけるグルコースはエネルギー源として重要である反面、高濃度のグルコースには「糖化反応」を引き起こし、微小血管に障害を与え、生体にとって有害となるのです。

そのためインスリンによりその濃度を基準以下に保とうと自動調整される仕組みになっていますが、毎日のように大量の糖質を摂取していると、膵臓が疲れてきてインスリンを十分に産出できなかったり、インスリンの働きが悪かったりすると、糖分が処理しきれない状態になり体内の血糖値が高くなってしまいます。

「糖化反応」とは血液中に余分な糖分があると、体内のタンパク質や脂質と結びついて変性させ、AGEs(終末糖化産物)という老化物質を作り出す状態のことを言います。

活性酸素による酸化が「体のサビ」と言われるのに対して、糖化は「体のコゲ」とも呼ばれ、細胞などを劣化させる現象で、肌のシワやくすみ、シミなどとして現れます。

それだけでなく、AGEsという糖化産物は内蔵をはじめとする体内組織に作用して、動脈硬化や白内障、アルツハイマーとの関連も指摘されています。

もし野生動物が糖質の過剰摂取をしていたなら絶滅は免れられないだろうし、人間に置き替えて考えたら、数千年後には大変な事態になっていると推測します。たかだか200年ほど前からの穀物精製技術の発展の時から始まった体の異変に誰かが警鐘を鳴らさなければなりません。