高血圧を真剣に考える!

血圧の「個人差、年齢差は関係ない」の不思議な基準値

血圧の基準はかつて「年齢+90」で年齢が上がれば血圧の基準値も上がるという、年齢に即したものだったのが、年齢に関係なく160になり、2014年には130、至適なのは120という値になりました。

しかし背の高い人と低い人、太っている人と痩せている人の血圧は同じではなくて、背が高ければ、または太っていればそれだけ血圧を高くしてあげなければ不都合が生じます。

キリンの血圧は300位あるのはそれだけ圧を上げてあげないと脳まで血液が行かないわけで、水道の水圧でも建物の上層階ほど水圧が必要なのと同じことなのです。

また太っている人の場合はそれだけ細胞も多く血管も多いので、水道局が1万世帯にかける水圧と、2万世帯にかける水圧が違うのと同じことです。

また年齢が高くなると血圧が上がるのは、年齢とともに血管壁が固くなるため、心臓は少し無理をして血液を送るので血圧はやや上がるように自動調整しているのです。

また運動時には細胞が余計に酸素を必要としますので、心拍数をあげて普段よりも多くの酸素を供給しますので血圧も要求に応じて上がります。

このように必要に応じて心臓も働き、血圧もこのぐらいにしておこうと調節しているので、安易に血圧を下げればいいというものではありません。

血圧の基準値の引き下げで高血圧患者が16倍に

高血圧症の診断基準は戦後180mmHg以上とされていましたが、1978年には160mmHgに、1999年には、140mmHg以上とされ、現在日本高血圧学会が示す正常血圧は上が130mmHg未満、下が80mmHg未満というものです。

その結果20年あまりで高血圧症と診断される人が約16倍に増えたのです。

血圧は歳をとれば高くなるのが常識で、自然なことで体中に特に脳に血液を行き渡らせるには必要で、血圧を下げる事による脳梗塞になるリスクが増大することも考えられます。

降圧剤による血圧の低下により流れが悪くなり血液が固まりやすくなりますので、そのリスクを減らすために、血小板の働きを無効にして血が固まらなくする抗血小板剤という薬をあわせて使うことが多いのですが、この抗血小板剤を「血液サラサラ」の薬と称していかにも血液がきれいになるイメージを与えて処方されています。

この薬は手術や怪我で出血が止まらなくなったりしますが、血液の大事な作用をなくすということは、長期に飲んだ場合にはどんな副作用が出てきても不思議はないと思います。

高血圧だとしても降圧剤を使うかは慎重に判断をしたほうが良くて、血管の弱った脳梗塞治療患者でも185mmHgまでは血管がすぐに破れることはないという研究結果があります。

高血圧の基準値を全ての年齢に当てはめることに無理があり、非常識と言わざるを得ません。

降圧剤(高血圧治療剤)の副作用で死亡

厚生労働省は2016年1月、降圧剤で18人が横紋筋融解症などを発症し、2人が劇症肝炎で死亡したと発表しました。

降圧剤に限らず化学薬品は解毒するのに肝臓に大きな負担をかけているのは常識で、それが高齢者ともなれば肝臓の大きさも小さくなり、解毒能力も低下しているのですから当然です。

それにもかかわらず高齢者にどんどん薬の量を増やしている今日の日本の医療のあり方は確実に間違っていると言わざるを得ません。

日本老年医学会では高齢者に出やすい副作用を防ぐため、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を2015年4月に発表しています。

例えば、「抗精神病薬全般」で認知症の人には脳血管障害と死亡率の上昇を理由に、また抗血小板薬のアスピリン製剤は上部消化管出血の既往のある患者には「潰瘍、上部消化管出血の危険性を高める」ため「可能な限り使用を控える」と記載されました。

また、医薬品医療機器総合機構は2015年10月に、便秘などの治療に使われる「酸化マグネシウム製剤」を飲んだ後、血圧低下などの高マグネシウム血症を起こして死亡したとの報告が4件あったと報告しています。

化学薬品は体にとって毒を飲んでいるのと同じことだと、肝に銘じる必要があります。

血圧は左右同時で測ることになっている

高血圧治療ガイドラインに「初診時には、上腕の血圧左右差を確認すること」との明記があるのは、片方だけの測定では動脈硬化性血管病変を見落としてしまうことがあるので、そのような決まりができたのです。

血管のどこかで動脈硬化が進むなどして、血管の内腔が狭くなっている、もしくは詰まっている場合、その手前で血圧が高くなり、詰まりの先では血圧が低くなり、狭窄がある側の腕では、血圧が低く測定されてしまう場合があるため、極端な左右差には特別な注意が必要です。

できれば2台の血圧計を使って同時に測定することをお勧めいたします。

なぜならほんの数十秒でも違うと数値は10〜20も変わってしまうことがあり、信頼性に乏しくなってしまうので、そっくり同じ状態で測定するには同じ機械で、上腕で、できればマイクを用いたコロトコフ法を採用した血圧計で測ることが望まれます。

77歳、2型糖尿病の男性A氏は頸動脈エコー検査で動脈硬化による狭窄がありました。

血管の老化と血栓予防で「知柏地黄丸」と「四川富貴廣」を18ヶ月服用したところ、頸動脈検査できれいになっていましたし、血圧の左右差も以前は20以上あったのが今では10以下で推移しています。

奥様の食事と適度な運動なども功を奏して、良い結果が生まれた一例でした。