受精とは?!
東洋医学では受精を単なる卵子と精子の結合とは見ていません。
そこに気という生命の元を宿すことが出来なければ、受精卵が妊娠に至らなかったり、流産してしまったりするものだと考えています。
射精1回当たりの精液が含む精子数は数億個で、膣内で99%は死滅、子宮まで到達出来るのが数千です。
受精の場である卵管まで到達出来るのが数百で、その精子は卵子の表面に誘引され、一個の精子が卵子の表面から侵入すると受精膜が出来て、他の精子は遠ざけられてしまいます。
この様に数億分の1という選ばれし精子の気と卵子の気が受精に結び付くのです。
漢方治療では、女性の母体を最良の状態にもっていくことと、男性の精子を元気にすることで、自然に妊娠できると捉えています。
仮に病院で不妊治療を実施されていたとしても、身体の機能を最善な状態にしておくことは必要なことなのです。
男性不妊症は精子の数が少ない、精子の活動
性が弱い、などが主な原因ですが、ストレスや疲労による性欲の低下や勃起機能不全などが元凶と思われます。
女性の場合の主な原因として血が少ない「血虚(けっきょ)」、血の流れが悪い「瘀血(おけつ)」、胃腸の働きが悪く十分な気が作れない「気虚(ききょ)」、ストレスなどで気が滞ってしまう「気滞(きたい)」、生殖に関わる腎の機能低下の「腎虚(じんきょ)」などが考えられます。
それらによって貧血、頭痛、胃腸病、めまい、疲労、月経痛、月経不順、月経前症候群、卵巣機能低下、腰痛、冷え症、耳鳴り、咽の渇き、寝汗などの身体的症状が現れてきます。
不妊症には『○○湯』という様な画一的な漢方薬は有りません。
漢方療法は、体質を見極めて症状を改善することで、本来の正常な機能を回復させます。
不妊症の多くの女性は、冷え症を伴っていますので、それを目標に漢方薬を構築します。
冷え症が治ってくると新陳代謝がよくなって、生殖器の働きが機能しだすので、今までにない調子の良さが実感できます。
そして子宮の温度が正常に保たれるようになると、卵巣や子宮の血流がよくなり、子宮内膜が柔らかく厚くなり、妊娠が可能になるのです。
漢方薬の実際
女性の生殖器が健全であるためには漢方薬で血を補い、血の流れを良くし、ストレスの影響を緩和することが大切になります。
漢方薬で不妊改善に取り組むことは、単に不妊の克服だけではなく、妊娠中や産後の健康にも寄与することにつながります。
授からない要因には生殖器官の問題の他に、年齢、甲状腺機能、肥満、糖尿、ダイエット、冷え症、貧血、痩せすぎ、鬱、不眠、ストレスなどが考えられます。
比較的若い女性の場合に用いる漢方薬には、「補血薬(ほけつやく)」、「活血薬(かっけつやく)」、「理気薬(りきやく)」などが中心となります。
★「補血薬」は血の持つ栄養とそれに伴う循環、内分泌、自律神経などの失調改善に使うもので「四物湯(しもつとう)」関連処方で対応します。
★「活血薬」は補血薬を基本に、循環を主にしたもので『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』が有名です。
★「理気薬」は自律神経系の緊張や亢進に伴う消化官や気管支、血管などの緊張など、いわゆる気滞(気の停滞)の改善薬で、『六君子湯(りっくんしとう)』がよく用いられます。
女性29歳、158cm、40kg、男性28歳、162cm、52kgの結婚3年のご夫婦で不妊症外来にかかっています。
女性の基礎体温表でのグラフはバラバラで安定しない、舌の状態から感情の不安定がみられる、水毒体質で近視、歯痕舌、地図状舌あり、神経性下痢、冷え症です。
一方、男性は病院の検査の結果は、精子の運動率の低下、生命力が低く、普通3日なのに1日しか生きていないと言われたとのこと。
女性には身体の機能低下やエネルギー代謝の低下、冷たい物の飲食などによる冷えや水毒があるので『温経湯(うんけいとう)』という、本来高齢の人に使う漢方薬を処方しました。
男性は生命力の乏しい、腎精不足と冷えがあることから『金匱腎気丸(きんきじんきがん)』という処方を使いました。
また妊娠しやすくなるように牡蛎(ぼれい)製剤(かきがらの健康食品)を二人に併用して頂きました。
特に男性は微量ミネラルの不足が精子の運動率低下の一因であることと、体を少しアルカリ側に傾けることにより、精子の働きが良くなると考えて用いました。
着床力をつける
前回ご紹介したご夫婦は、その後めでたく妊娠しまして、二人であいさつに来てくれました。『おめでとうございます!』。
年齢に関しては、35歳から自然妊娠の確率は低下し始めて、卵子の数は思春期には10万個強ありますが、35歳では2万個程度まで減少して、質の低下も出てきます。
また卵巣や子宮の機能低下も見られるようになるので、漢方薬もそれぞれの変化に合わせた対応が必要となってきます。
『何歳まで妊娠できるのですか?』と聞かれることがありますが、月経がある間は妊娠が可能で、高齢になっても子宮や卵巣は若返らせることができるものなのです。
高齢で妊娠するためには、「卵」の問題もありますが、何よりも「着床力」が重要になります。
その「着床力」をつけるには、第一に子宮内膜の厚さを、10mm以上にもっていかなければ、妊娠は厳しくなります。
なぜなら内膜が厚くないと、受精卵はもぐり込めないからで、そのためには『プライケアEiz』をよく用います。
第二は内膜の柔らかさが必要で、いくら厚さはあっても硬くて、冷たい内膜ではいけません。
子宮内膜を布団に例えれば、冷たく薄い煎餅布団よりも、温かいフカフカの羽毛布団のほうが着床しやすいということです。
内膜の厚さや柔らかさが足りない人には、次のような特徴があります。
主に月経血に血塊があり、生理痛、排卵痛が強く、鎮痛剤を使い過ぎる人にみられます。
これの原因は瘀血(おけつ)、いわゆる古血が関係していますので、『芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)』がファーストチョイスの処方になります。
しっかり瘀血が取れれば鎮痛剤を使わなくても済むようになり、レバーのような塊の月経血がなくなり、内膜が柔らかく、温かくなってきます。
第三には「内膜の感受性」で、厚さも柔らかさも改善したけれども妊娠しない場合があります。
よく見られるのが、ホルモン剤の使い過ぎで、内膜の受容体が鈍くなるケースがあります。
このような時には『プライケアEiz』という自然製剤を用います。
女性は1回お産をしたら何歳になっても産後ですので、二人目の産前は一人目の産後というわけです。
二人目を授からないということは、一人目の産後に瘀血やストレス等によって「着床力」が低下した状態が固定してしまっていると考えられます。
流産は気脈が損なわれている
3回以上自然流産した場合を、習慣性流産と呼び、漢方の古典《景岳全書(けいがくぜんしょ)》には「何回も流産しているものは、すべて必ず※気脈(きみゃく)の虚損(きょそん)がある」としています。※気脈とは気の流れる通り道をいいます。
その理由として、「生まれつき虚弱な人、年に比べて衰弱している人、憂うつ、怒り、過労などでその精力を消耗している人、色欲を慎まないでその精力を知らぬ間に損傷している人、その外、飲食不摂生の類も皆その気脈を虚損する」と指摘しています。
私たちの体は自分の生命を維持することを最優先としますので、母体が衰弱していたり、体温が低下していたり、過労やストレスを受けている時には、体が強いダメージを受けていますので、生殖能力は後回しにされて、まずは体の修復機能が優先されて働きます。
その結果、「体を守るために流産などを引き起こすことがある」と漢方では捉えています。
東洋医学では、性交から分娩までのすべての過程で、腎(じん)は重要なカギを握っていると考えていて、その腎気(じんき)が衰退してくると、男性ではインポテンツや早漏になり、女性では生殖機能が衰退し、妊娠しにくくなり、たとえ妊娠したとしても流産をしやすいといわれています。
妊娠を維持する中心である血(けつ)は、血液、栄養、ホルモンの総称で、子宮や卵巣の力の根源となるものです。
ですから、腎と血の状態をよくすることで、体の不調も心の不調も回復して、新しい状態を取り戻すことができるのです。
34歳女性。結婚後2年間の間に流産を立て続けに4回しています。
中肉中背、色白、貧血、極度の冷え症、生理不順と首肩腰の痛みがあります。
結婚前に仕事の過労とストレスで、うつ病を発症し、体重が10kgも落ち、生理も3年ぐらい止まったことがありました。
そこで、流産後の回復に『芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)』と、腎気を盛んにする『鹿参仙(ろくじんせん)』を服用していただきました。
3カ月後めでたく妊娠しまして、『芎帰調血飲第一加減』は中止して、流産防止と母体の安定のため『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』に切り替えていただきました。
流産防止には、冷え、血流、生殖能力の三つのことが重要で、これらのポイントをおさえた治療が必要になります。
『芎帰調血飲第一加減』
『芎帰調血飲第一加減』顆粒
価格:1箱90包 10,000円+税(1日3包服用で30日分)
『芎帰調血飲第一加減』錠剤(キュウキイン)
価格:1箱540錠 11,600円+税(1日15錠服用で36日分)
製造者:小太郎漢方製薬株式会社
大阪市北区中津2丁目5番23号
お客様相談室:☎06-6371-9106
http://www.kotaro.co.jp/index.html
『プライケアEiz』
メロングリソジン製剤:プライケアEiz(イーアイズ)
価格:1箱150粒15,000円+税(1日5粒服用で30日分)
2箱セット、6箱セットもあります。
飲み方:1日4〜5粒を目安に服用。
体質改善には6カ月をお考え下さい。
・活性酸素除去機能が回復するまで、3〜4週間はかかりますので、その間はのみ忘れが無いように、しっかりと服用してください。
原料提供:コンビファンクショナルフーズ事業部
(文献等上記HPで閲覧できます)
製造者:ジェーピーエス(JPS)製薬株式会社
横浜市都築区東山田4-42-22
お客様相談室:☎045-593-2136
小太郎漢方協力会正規取扱店
JPSカウンセリング専売品正規取扱店
販売店:大原薬局
住所:埼玉県さいたま市浦和区北浦和3-19-16
電話:048-822-5521 メール:ooharamj@yahoo.co.jp
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